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自画像

 

 瀬戸内海に因ノ島というちっぼけな島がある。むかしは和寇のソウクツだったという。オヤジのオヤジはその島の出だから、海賊の末裔らしい。母方の先祖は信州の野武士あがりの御家人というから、こちらは山賊にちがいない。

 してみると、ぼくの顔は海賊と山賊のアイノコらしい。いたしかたなき次第である。

 さきごろ、某紙の報ずるところによれば、ぼくの顔はダンディの顔だそうです。どうせ自分のことは他人がきめてくれるのだから、これはアリガタク頂戴しましょう。もっとも、ものゝ本や芝居によれば、盗賊というヤツはたいていダンディである。ヴィヨンをもちだすまでもない。石川五右衛門だって、定九郎だって、結構イナセな男でしょう。いたし方なき次第である。

 ぼくは自分の美文調に酔うのだそうですーこれも他人がきめてくれたことだから、まちがいあるまい。そういえば、ものごゝろついたころ、泉鏡花の文章にすっかり酔っぱらって、いつか鏡花ばりの美文を書きたいと思ったことがあります。ミツゴノタマシイとやらで、いまでも、そんな気分がぬけないのかもしれません。押し借りゆすりの三下奴でそんな酔い方をしているかもしれない。いたしかたなき次第である。

 何とかはやく正気にもどりたいと思っています。

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上野中心時代は去った: テキスト

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