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上野中心時代は去った(抜粋)


 ことに最近の特徴の一つは、街の画廊に新人、新進が進出してきたことだ。新しい美術はこのへんから起こるのではあるまいか、とぼくは期待をよせている。

 というのは、街の画廊の一つ一つではなく、その集積が全体として、抽象的に綜合され、一種のアンデパンダン展になるという仕組みがもうできているからである。団体として具体的にまとまるのでなく、個々の作家が文字通り独立し、その能力をそれぞれ発揮しうる開放的な場としてのアンデパンダン展である。

 現代絵画が抽象主義や超現実派を通つたのち、造型作品プロパーの空間ということが、むかしとはちがってきたし、それが、生活にまではたらきかけて、ぼくたちの生活空間までちがつてきている。少なくとも美術家は、現代美術のおかれる場を考えるとき、この程度の抽象的空間関係を感じとつていなければ、現代に積極的な発言ができまいと思われる。

(中略)

 が、話が理におちた。むつかしく考えることはない。散歩のついででも、待合のついででも、気軽に画廊に入つて、気軽に作品を楽しめば、それでいゝのである。


上野中心時代は去った: テキスト

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