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サザランド「いばら」

美の美

 サザランドは田舎の風景や、田園の道ばたにある無名の生物や石ころに親しい感情をもって接し、その形態に魅惑される。ほとんど、アニミズムにちかいが、むろん、原始人のアニミズムとはちがう。いわば画家は事物の中にもぐりこんで、既成の絵画的視覚、絵画的概念でおおわれていた外形から、事物の「魂」をほりおこそうとする。既成概念から事物を救うには、こんな手だてもいるものだ。この前(八月五日)紹介した「磔刑」をかいたころから、荊冠にひきつけられ「いばら」を連作している。「画家は吸取紙みたいなものだ。二十世紀文明の外部のカオスの意義を吸いあげざるをえない」とみずからいうように、彼のかく虫、木の実、葉、石ころ、みな苦痛にゆがんだかたちで、この「いばら」も同様だが、全体に落着きと明るさをもってきている。
 『「いばら」は「磔刑」をかいているときの残酷の観念から生じたものだ。やさしい四囲の状況の中にいばらを示すことで、その観念に二重のひねりを与えようとした』といっている。 
(明大助教授・美術評論家)

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