top of page
石涛「芭蕉・松」
美の美
石涛の絵には、すさまじいまでのリアリズムがある。いわば、抵抗の精神が強ければ強いほど、反逆の表情をあくまでもしずめ、事物の実体を見きわめようとするかのようなリアリズムである。
知識人であり、最後まで回天の志を持ちつづけた石壽のとった態度は、論理化の方向である。あるいは方法の樹立の方向である。
そして、「我本礎狂人」と自称した石涛が八大山人をはるかに敬慕して、書き送り、「聞く、先生は七十をこえて、山に登ること飛ぶが如く、真に神仙中の人なりと。済は方(まさ)六十四五なれども、諸事堪えざるなり……身を還(かえ)して西江に至り一たび先生の顔色をみる能わざるを恨みとなす、老病身に在り、如何せん」といったとき、必死に方法の樹立をねがった石涛が、あらゆる方法を拒否してしまった八大山人の即興性に切々たる思いをよせていたと思われるのである。
(美術評論家・明大教授)
bottom of page