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ロザック「作品」
美の美
ロザックはアメリカの若い彫刻家で、いわゆる抽象表現派の一人とされている。この作品は、何がかたちづくられているのか分らない。無骨で質朴なものだ。都市の高層建築などとすぐ結びつく純粋抽象や理知的な構成主義ではあきたらず、無意識の世界で生きる激しさをぶちつけているようだ。
ヨーロッパ文明から出て、ヨーロッパ文明よりも発展した都市の、すぐ裏には、人間の手の入らぬ原始地帯や不毛帯がある―そんなアメリカの内部的な矛盾に目をつけ、都市の然とした企画性を考えるかわりに、処女地を開拓しようとする意欲と結びつくものであろう。
処女地を開墾するにはクワを深くうちこまねばならぬ、と誰やらもいったが、そうしたとき、都会的な明快な直線や曲線は考えられない。土の抵抗で、クワのあとは、ふしくれだったり、ためらったりせざるをえない。そんなときにあらわれる質朴な生命力に似たものであろう。
(美術評論家・明大助教授)
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