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ロイスダール「城塞と遠い教会」
美の美
ロイスダール (一六二八?―八二年)はきびしい冬の風景や荒涼たる風景が多い。ときにはひろびろとした作品もかいているが、それでもすべてに偉大な憂愁が感じられる。
風景画を独立したジャンルとして確立したのは十七世紀のオランダ画家だが、多くはつつましいネーデルランド独特のムードをそのまま描いている。 つつましいといっても、風と海の力は、いったん解放されると、おそるべき力を示す。が、その辺のことはどの風景画家もコレクターもじゅうぶん知っている。かれらはみな海に立ちむかう船乗りなのだ。
ロイスダールのたちむかう自然は、そうしただれでもすぐわかる現象に対してではなかった。彼の場合、自然対人間は、いわば哲学上の問題にまでなっている。自然の強力な力の前には人間の作ったものはすべむなしく破壊されるとしても、また、自然の偉大な沈黙の無関心に面しては、人間は無力であるにしても……そして、たしかに彼はそう感じたにちがいないが、それでもなお、ロイスダールは、そう感じるものこそ、ほかならぬ人間であり、ここに人間がいると言いたかったのだ
(美術評論家)
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