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モディリアニ「首」
美の美
アメデオ・モディリアニ(一八八四―一九二〇年)はイタリアのトスカーナに生まれ、二十二歳でパリに出、三十六歳で夭折するまで、ほとんどパリで制作した。絵側についてはここではふれない。一九〇九年から一五年ころまで彫刻に没頭している。フランクーシやレームプルックなどと変わっているし当時着目されはじめたアフリカのニグロ彫剤に刺激されもした。事実、象牙海岸のニグ芸術に、これとよく似た仮面がある。が、単なるエクソティシズムではない。「ヨーロッパの危機」を深く感じる不安と、病弱と貧困との中で、 根源的な生命力を求め、プリミティヴ芸術にこめられた生命に触発されて、一つの回復をはかろうとしている。
夢幻的な奥行きを感じさせる線は速度とリズムをもって端麗だ。けちくさいところ、いじけたところが少しもない。これは単なる貴族趣味ではない。生命の充実感を求め、それ以外はおもてにあらわさぬ芸術家の節度のある態度である。
(明大助教授・美術評輪家)
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