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ミロ「鳥」

美の美

 ミロはいうまでもなく画家だが、ときどきおもしろい彫刻をつくっている。ミロがまだバルセロナの美術学校に学んでいたころ、色彩はかなり容易だったが、いわゆるデッサンがむずかしかった。すると、師のパスコはミロに触覚でデッサンすることを教えたという。つまり、対象を見ずに手にもってさぐらせたのち、デッサンさせた。ミロが彫刻に関心をもつのはこのときの訓練のおかげだ、と自分でもいっているが、しかし、ただ彫刻だけではない。彼の絵のマチエールの美しさは、視覚的というよりも触覚的なハダざわりの美しさだともいえる。 それに画面のリズムは眼のきかぬ夜にひびく音楽の軽みに似て、聴覚的である。視覚を優位におく十九世紀までの合理主義をもともとうけいれぬ資質だったと思われる。
 その資質がさらに訓練されて、シュールレアリズムの理念をすぐさま理解できたようだ。西洋と東洋との接点にいるミロの位置もうなずける。一九四六年作。
(美術評論家・明大助教授)

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