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ミロ コンポジション

美の美

 赤、青、緑、黄、黒と、強い原色ばかりを粗い黄麻布にのたうたせる。なにが描いてあるのか分らぬが、グロテスクなかたちーー中央にあるのは女の胴体らしい。わきばらから夜がふき出し、月や星が生まれる。真紅の隆起物、鳥、車輪、蛇状にうねる線。 ミロには「スペイン的夢幻」があるにしても、いつもは怪奇さ、極端さをおだやかで、静的な調子にしずめるのだが、この絵はめずらしく、ふだん隠されていた妖怪が一度にふっきれたようだ。墨痕淋漓(りんり)という言葉があるが、これは色痕淋漓だ。血のしたたりを見て、ぎょっとするように、この色やかたちには、どきっとさせるものがある。なにかに怒り抵して抗いるらしい。たぶん一九三九年の作。このスペイン内乱は最終段階に入り、ミロの故鄉バルセロナの労働者の英雄抵抗が終る。ミロは、政治運動に直接たずさわらなかったが、そんな怒りと抵抗を感しているのではあるまいか。どうも、そんな気がする。
(美術評論家・明大助教授)

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