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マーク・トビー「作品」

美の美

 アメリカに太平洋岸派とよばれる一群の画家たちがいる。その性格を一括していうわけにはいかないーというのは、現在アメリカで最も独自な作品をそれぞれに追求しているのは、この派の人々だといわれるくらい、おのおの作風が違う。が、最近、いろいろ話題になる抽象表現派のうちにはいるし、また、それを推進してきたともいえよう。
 ここにあげたトビーや、先年死んだポロックは代表的な画家である。
 トビーの特徴は、機械化され、画一化され、都会化された文明や、その所産に対して、まだ開拓されぬ分野を積極的に追求しようとすることと、東洋的なものに対する一種の憧憬 (どうけい)とが不思議にまじりあっているといえるかもしれない。穏やかで、叙情的であるが、同時にまた、ある意味で宗教的な感情がただよっているようにも思える。奇妙にきこえるかもしれぬが、抽象芸術をささえるものは、宗教的な感情かもしれぬとぼくはときどき思う。
(明大教授・美術評論家)

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