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フラ・アンジェリコ、フラ・フィリッポ・リッピ「マギの礼拝」

美の美

 この作品は十五世紀中ごろ、フラ・アンジェリコによって着手され、フラ・フィリッポ・リッピによって完成されたものだが、イタリア初期ルネサンスの時代を、ピエロ・デラ・フランチェスカとはちがった意味で代表していておもしろい。
 マギー東方三賢者あるいは三賢王―が聖母子の前にひざまずいて礼拝している。 三賢王はその巨大な富にふさわしく、無数の従者と動物をひきつれている。その群れが左手の市の門から流れ出てくるが、群衆は背景の山までつづいてきりがない。これがこの場を祝祭にふさわしく、はなやかにしているし、あるやさしみを与えている。が、ここには、ピエロや、さかのぼって、マサッチョの秩序と明快と単純さが欠けているし、さまざまなものが混合している。建物は遠近法が無視されてゆがんでいるし、中央の納屋の屋根にいる孔雀 (くじゃく)は大きすぎよう。聖母の隣に立つヨゼフの姿などには、ピエロに通じる厳格さがある。こういう混合は、とがめるわけにはいかない。ピエロの明快な厳格さは自己の確かさをとらえようとする般然とした意思から生じたとすれば、この混合は光を見たものが、そのまばゆさに倒れたのち、徐々に立ち上がってゆこうとするところから生じたものだろう。
(美術評論家・明大教授)

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