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ピーター・ブリューゲル「東方三賢王の礼拝」
美の美
ピーター・ブリューゲル(一五二八?―一五六九年)は十六世紀中葉、ネーデルランドで活躍した画家。 ピーターは農民の子で姓がなく、生まれた村の名ブリューゲルを名のったといわれる。
モラリストであるボッシュの悪魔的リアリズムをもっとも正当にうけついたのが、三世代のちのブリューゲルであった。が、ブリューゲルは多くの場合、ボッシュよりも、ずっと身近なものに題材を発展させている。発展ということばをあえて使いたいのだが、ことばをかえれば、幻想性をおさえて、自然の事物や土に生きるものに多くの関心をよせ、題材を身近なものに転換している。
当時のネーデルランドはカール五世、 フェリペ二世の断圧と宗教裁判によって、おそるべき圧制をうけていた。 この絵の題材は説明はいるまいが、この作品でも、作者は政治的、宗教的圧制に対してなにかを訴えようとしていると思われる。ただし、後方の描かれた兵士や庶民に、かえって彼の特徴があらわれているかもしれない。彼の抵抗には、農民としての知恵があり、ユーモアとペーソスを生んでいる。
(美術評論家・明大教授)
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