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ピカソ「ふくろう」
美の美
長いこと埋もれていた原始芸術、未開芸術の生命力をよみがえらせたのは現代芸術のフォルムである。原始芸術、未開芸術のもつフォルムの中にはー物神像であれ、祖先像であれ、あるいは、いけにえの血をうける用器であれーいわば匿名の民衆の生命が集約して封しこめられている。それは人間が、人間とは別の事物に、人間とは別の生命を、手におえぬものとして見ることでもあった。たぶん、ごく最近まで、文明はそうした事物と世界とを人間にひきつけることによって成立していたし、芸術も大系としては、その線にそっていた。
現代文明の危機感は、 人間の手におえぬ事物そのものの生命をあらためて見ようとする。この点、現代芸術のフォルムはプリミティブ芸術のアニミズムとよく似る。が、重大な相違を見おとしてはなるまい。人間と世界とを、受動的におかれたままの状態にほっておかず、人間のかたちづくった作品によって、人間と世界とを結びつけようとする意思である。 ピカソのもつ大きな意味の一つは、その点にもあろう。
(美術評論家・明大助教授)
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