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ピエロ・デラ・フランチェスカ「復活」

美の美

 サザランドはイーゼンハイム祭壇画を見たのと前後して、イタリアのボルゴ・サン・セポルクロのピエロ・デラ・フランチェスカの「復活」を見て感銘をうけた、と述懐している。
 ピエロは初期イタリア・ルネサンスを代表する一人で、このキリストはピエロの感じたキリストであり、たぶん、そのころのキリストの見方の一つの典型かもしれない。
 ピエロは透視図法的遠近法をはなはだ明快に追究した画家の一人で、そうした「科学性」がこの絵にも見られるが、この作品からうける感銘は、清澄な色調と、造形の確かさである。それが作者の精神と、深い関係があるにちがいない、と見るものは感じる。
 ピエロにとって、キリストの復活は、一つの奇跡にちがいないが、また同時に全く自然に見える。深い闇(やみ)の底から立ち上がるキリストは、明朗な朝の空気のうちに昇ってくる太陽のように自然であり、また人間の尊厳を身にそなえている。
 自然であるために、それだけ超自然に感じられるという。言語撞着(どうちゃく)するような、ふしぎなものがただよっている。
(美術評論家・明大教授)

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