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ピエロ・デラ・フランチェスカ「シバの女王の侍女たち」

美の美

 「聖十字架物語」のシバの女王にしたがう侍女たちである。ひざまづいて祈る敬虔(けいけん)な女王に対して、侍女たちはその気高さを、本当には分っていない……というドラマは別として……。
 ピエロは透視図法的遠近法を線・面・色において統合したというのは通説だし、この絵のきしっとした構図でも、ある程度分ると思われるが、実はその意味の重大さは、案外表面的にしか解釈されていないうらみがある。
透視図法はルネサンス以後十九世紀までのヨーロッパ絵画の中心的な軸だった。というのみでなく、ヨーロッパ文明がその上に立つ進歩主義的合理主義をささえるメドであったとさえいえる。透視図法は、いうまでもなく、でき上った結果だけから見れば、絵画プロパーの問題ではなく、ごく単純な、科学的図形の組み合わせ方にすぎない。が、これを発見し、追求し、完成したのが科学者でなく、画家たちだったということは、なかなか重要なことだ。
 科学的図形の組み合わせは線と面とで可能だと仮定して、では色が加わったらどうなるか?。この場合、色とは、アランの「色彩は真の画家の唯一の方法である」という意味、もしくはルノワールの「色彩は天分による」という意味に解していただきたい。絵としての色を持っている画家はおどろくほど少いのだ。
(明大教授・美術評論家)

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