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ピエロ・デラ・フランチェスカ「ウルビノ公像」

美の美

 この絵は、公妃の肖像とむきあって、一対(いっつい)になっている。公の顔色の生気に対して、公妃の顔は青ざめ、表情も堅いところから、公妃の死後、記念として描かれたものとも思われる。 ウルビノ公フェデリゴ・ダ・モンテフェルトロは当時の名君だったといわれる。
 真横のプロフィルは当時の一種の流行でもあるが、 大気の中において、明るい外光下の色彩で、遠くひろがる奥行きのある空間の美しさとともに人物を表現したのは、ピエロが初めかもしれない。
空気遠近法あるいは色遠近法ということを思いおこすかもしれない。が、科学的なシステムではおさまりのつかぬものがある。
 テンペラという幅の狭い材料の制約の中で、微妙に変化する無限の諧調(かいちょう)を生んでいるし、しかもそのすべての変化が緊密な関係で結びつき、少しのすき間がない。
 のちの油彩画の多くが、 透視図法を「公理」としてうけいれて、疑いをさしはさまず、幅の広い柔軟な材料の自由を楽しむことにとらわれて色と色との関係が間のびしているのとは正反対である。
 たぶん、ピエロにとって透視図法は、自分の存在にかかわる問題として解決すべきものだったし、色彩はその「唯一の方法」だったにちがいない。
(明大教授・美術評論家)

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