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バーバラ・ヘップワーズー「作品」
美の美
バーバラ・ヘップワースは女性にはめずらしい彫刻家である。ヘンリ・ムアの影響を多分にうけているが、ムアよりも強く「じかぼり」を主張しているようだ。
漱石が「夢十夜」の中で、 運快慶共作の「二王像」にひっかけて、「じかぼり」の秘密をたくみに語っているがたしかに、彫刻家は材料のうちに埋もれている実体をとり出すだけ、ということになる。が、これは、いうべくして、なかなかむずかしいことにちがいない。(断わるまでもあるまいが、「二王像」は一木のじかぼりではない。だから「夢」にしたてたのがミソ)
彫刻家は像をつくり出しはしない。ほり出すだけだ、とはりっぱな彫刻家ならだれでもいうことである。だが、ほり出す対象物を見出すこと――つまり、材料という自分以外のものの生命を、そのものとして認めること、自分では決して手なずけることのできぬ存在者として認めることーーそれが彫刻の最初の、そしておそらく最後の問題であろう。
(明大教授・美術評論家)
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