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バスモア「作品」
美の美
ヴィクター・パスモア(一九〇八年)は画家であるが、最近はこういうレリーフも多くつくっている。いつか「内海」という抽象的な絵を紹介したが、それ以前は、どこかポール・ナッシュを思わせるような、傷ついた叙情性とでもいうべきものを感じさせる絵をかいていた。
急激に抽象的な作風にかわったが、レリーフになると、この作品のように、いよいよ、幾何学的抽象とでもいいたい構成にまでなってゆく。透明な板の上に、面と椒とだけでレリーフを構成していて、一見なんのヘンテツもないものだが、イギリスという風土の中で、ここまで思い切るには、なかなかの努力がいるにちがいないし、作品にそれだけの秘密感と清潔感とがある。単なる思いつきや装飾ではなく、作者にとっては必然の様式なのであろう。
三点を一組の構成と見てもいいのだろうし、あるいは、おのおの別に見てもいいのかもしれない。
(明大教授・美術評論家)
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