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ドガ「踊り子」
美の美
ドガが古典的教養をもつ、すぐれた素描家だったことはよく知られている。彫刻のデッサンも見事なものだ。晩年目が不自由になったので彫刻をはじめたともいわれるし、若いころから片目がまるで見えなかったという説もある。とにかく、その彫刻は画家の余技などというものではない。
きびしいデッサンを自分に課し、その苦役(くえき)から解放されると、猛烈な皮肉屋になったという。 自分にも他人にもゴマカシということのできぬ性格であった。
踊り子にしても浴女にしても、普通だと不安定なかたちをわずかなところでバランスをとる、そんな状態をドガはつくる。単なる瞬間の印象の再現ではなく、知的な構成である。 空間の中での人体のひろがりとパランス。が、古典写実の厳格さがあり、人体の肉づけもたしかなものだ。女はきらいだったが、女体については放蕩児よりも知っていたといわれるくらいである。
(美術評論家・明大助教授)
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