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サザランド 立った形体
美の美
イギリスの画家サザランドは、一九五〇年ころから、こういう「形体」と題する作品をいくつも制作している。
植物とも動物とも、あるいは人間とも鉱物ともつかぬかたちは、すべて、ある種の原初的な生命をふきこまれている。ふだんは、与えられた環境の中で、あたえられた位置でなにもせずに眠っているものを、ゆりうごかして不安の状態につれこんでしまうともいえる。「形体」の方では、不案内な場で、めざめたばかりのように、いごこち悪く、不安といたみにゆがんでしまうかのようだ。
こんな残酷さは、対象を存在させなければ自分も存在の可能性を失うという意識から生ずるものだろうし、それはまたそれで、対象を信頼する一つの態度なのだ。あるいは、自分の心配のとどく範囲はかぎられたもので、それ以上のものは超絶的なものにゆだねるよ仕方がない、というような、宗教的な信仰と結びついているかもしれない。
(明大教授美術評論家)
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