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サザランド「小径への入口」

美の美

 グレアム・サザランド(一九〇三―)はイギリス美術の底流としての一つの大きな流れであるブレークの系統をひいている。 これは一九三九年の作品。彼の初期の作風の代表的なものといえる。
まだ、どこかロマンチックな田園風景とでもいう風趣があるが、それでも後年の、残酷と優雅とのまじりあう無気味なものが感じられる。 ものが受動的に置かれたままでねむっているのを許さず、不安のうちにゆりおこすような残酷さである。
 イングランドの、どこにでも見られるような森、そこからどこかへ抜ける小径(こみち)であろうか?
岩、樹木、枯木、茨(いばら)など、いつも彼の絵にあらわれてくるものが、すでに出ている。そうした無名のものの一つ一つに生命をふきこもうとしているともいえよう。魚眼レンズで見たようにゆがんだ風景の、この小径が通じる先が予想されるかのようだ。
(美術評論家・明大教授)

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