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クレー「コメディアンのポスター」

美の美

 ローマ字みたいなもの、象形文字みたいなものがいくんで、たのしい画面である。最近、いわゆる「型態」をやぶって、筆触あるいは筆跡がかなりクローズアップされてきたが、クレーのこうした作品からの影響も大きいと思われる。
 クレーの場合も、無意識とカオートマティックということがよくいわれるが、彼が「型態」をやぶって、こういう「空間」をえらんだのは決して気まぐれではない。いわば「大地の命令」に従った彼の意思である。
 一つの空間を選ぶことは他のすべての可能な空間を拒絶することである。選ばれた空間に、人間は自己の小さな殻をやぶって、人間の特徴を全的にあらわすのだが、この肯定の強アさは拒絶の強さに支えられて、はじめて可能にる。ここでは作者のギリギリの心づかいがいるはずである。作者の意思の決定というところを見おとしては作品ははじまらない。
(美術評論家・明大助教授)

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