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『馬』
美の美
この作品はギリシャの紀元前八世紀中ごろにつづく時代の作とされている。ペロポンネソスから発見されたブロンズの鋳物である。
三角形の図案をもつ台の上に立ったこの馬は、いかにも優駿という感じである。きわめて様式化され、表面的な描写的な細部はまったく切りすてられていて、やわらかな、しなやかな中にも強い張りがあって、馬の特徴がよくとらえられている。
張った胸部や腰部の厚みに対して、胴はまったく細く小さくなっているが、これでバランスはきちんとたもたれている。四本の馬の脚が構成する空間は、たいへん安定している。ピラミッド型や箱型、それに壷の型などが構成する美しさを、ネガのかたちでとりいれられる。太い首から、細い顔が出ているが、いくら上をむいて鼻をはったすかたは、たくみなものである。幾何学的な構成と、有機体のもつ量感とがすれすれのところでバランスをとっているといえよう。
(美術評論家・明大助教授)
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